ナビ2
深層心理学などの本を読んで、自分自身について考えることは、
セルフカウンセリングをして、メンタルケアをすることになります。
深層心理学の考え方は、あなたの「心の世界」を広げて深め心を発達させて、心を楽にし癒してくれます。
つまり、「読書療法(セラピー)」になります。
1冊の本が、あなたの悩みを解決してくれるだけではなく、人生を変えてくれるかもしれません。
フランクル、アドラー、エリクソン、フロイト、ユングの本を紹介していきます。
[注] レイアウトがくずれることがありますが、ご了解ください。
まだ読んでいないのですが、アドラー関係の2冊の本が売れているようなのでお知らせしておきます。 [2014.3.17]
『嫌われる勇気』
サブタイトルは、自己啓発の源流、「アドラー」の教え である。著者は岸見一郎、古賀史健。定価は1575円、ダイヤモンド社。広告のキャッチコピーには、アドラー「哲学」がすべての悩みに答を出す!!
とあります。
『アルフレッド・アドラー(1870〜1937) 人生に革命が起きる100の言葉』
帯には、「世界はシンプルで、人生は思い通り」と書かれている。著者は小倉広。定価は1680円、ダイヤモンド社。広告のキャッチコピーには、仕事・人間関係・教育…… あらゆる悩み解決する!
とあります。
下記のフランクルの読書案内の次にあるアドラーの本をあわせて読むと有益でしょう。
なお、フロイト、ユングについても新しい読書案内をつくろうとしましたが、残念ながら時間がとれず、すぐには無理なので、少し古くなりますが、『マンガ フロイトの「心の神秘」入門』講談社[改題『マンガ 5月から読む精神分析学入門』だいわ文庫]、『マンガ ユング深層心理学入門』講談社+α文庫
の巻末などをご覧ください。
本文のマンガについては、「まんが王国」<スマホ公式>www.k-manga.jp/ でご覧いただけます。
前者のタイトルは『マンガ フロイト精神分析学入門』と改題、後者は『マンガ ユング深層心理学入門』のママです。
それぞれのマンガ本についての詳細は、ナビ6「細山敏之のプロフィール」をご覧ください。
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V.E.フランクル 読書案内 [2008.12.5]
*印の本のいずれかを最初に読むことをお薦めします。
著書
[フランクル著作集(全7巻)]、みすず書房
*『夜と霧』(著作集1) 霜山徳爾訳、1961年 (新装版、1985年、1890円)
*『夜と霧』(新版) 池田香代子訳、2002年、1575円
*『死と愛』(著作集2) 霜山徳爾訳、1961年 (新装版、1983年、2520円)
下記の5巻については、現在フランクル・セレクションとして刊行されています。
『時代精神の病理学』(著作集3) 宮本忠雄訳、1961年 (新装版、2002年、2625円)
『神経症』T(著作集4) 宮本忠雄・小田晋訳、1961年 (新装版、2002年、2625円)
『神経症』U(著作集5) 霜山徳爾訳、1961年 (新装版、2002年、2620円)
『精神医学的人間像』(著作集6) 宮本忠雄・小田晋訳、1961年 (新装版、2002年、2620円)
『識られざる神』(著作集7) 佐野利勝・木村敏訳、1962年 (新装版、2002年、2625円)
『現代人の病---心理療法と実存主義』高島博・長澤順治訳、丸善、1972年、1300円
『苦悩の存在論---ニヒリズムの根本問題』真行寺功訳、新泉社、1972年、1890円
『意味への意思』 大沢博訳、ブレーン出版、1979年 1500円
『生きがい喪失の悩み――現代の精神療法』中村友太郎訳、エンデルレ書店、1982年、2200円
*『それでも人生にイエスという』 山田邦夫・松田美佳訳 春秋社 1993年 1700円
*『宿命を超えて、自己を超えて』 山田邦夫・松田美佳訳 春秋社 1997年 1700円
*『フランクル回想録』 山田邦夫訳 春秋社 1998年 1700円
『<生きる意味>を求めて』 諸富祥彦監訳、上嶋洋一・松岡世利子訳 春秋社 1999年 1700円
『制約されざる人間』 山田邦夫監訳、春秋社、2000年 2200円
『意味への意思』 山田邦夫監訳、春秋社、2002年 1900円
『意味による癒し――ロゴセラピー入門』 山田邦夫監訳、春秋社、2004年 1900円
伝記
『人生があなたを待っている――<夜と霧>を越えて』1・2 ハドン・クリングバーグ・ジュニア、赤坂桃子訳、みすず書房、2006年、各2800円
フランクル心理学など
『フランクル心理学入門---どんな時にも人生には意味がある』諸富祥彦 コスモライブラリー(星雲社発売) 1997年 2400円
『生きる意味への問い――V.E.フランクルをめぐって』 山田邦夫 佼成出版社 1999年 2300円
『フランクルに学ぶ――生きる意味を発見する30章』 斉藤啓一 日本教文社 2000年 1429円
『フランクルを学ぶ人のために』 山田邦夫編 世界思想社 2002年 2400円
『フランクル教育学への招待』 広岡義之 風間書房 2008年 3990円
A.アドラー 読書案内 [2008.9.11 9.28 10.3加筆]
*印の本のいずれかを最初に読むことをお薦めします。
著書
『子どもの劣等感――問題児の分析と教育』高橋堆治訳、誠信書房、1962年、480円
『問題児の診断と治療』高橋堆治訳、川島書店、1973年、1200円
『子どものおいたちと心のなりたち』岡田幸夫・郭麗月訳、ミネルヴァ書房、1982年、1200円
『器官劣等性の研究』安田一郎訳、金剛出版、1984年、2800円
『人生の意味の心理学』高尾利数訳、春秋社、1984年、2600円
『人間知の心理学』高尾利数訳、春秋社、1985年、2600円
*『個人心理学講義――生きることの科学』野田俊作監訳、岸見一郎訳、一光社、1996年、1800円
『子どもの教育』岸見一郎訳、一光社、1998年、1800円
『人はなぜ神経症になるのか』岸見一郎訳、春秋社、2001年、1995円
『生きる意味を求めて』岸見一郎訳、アルテ、2007年、2100円
『教育困難な子どもたち』岸見一郎訳、アルテ、2008年、1890円
伝記
『アドラーの生涯』エドワード・ホフマン著、岸見一郎訳、金子書房、2005年、7400円
アドラー心理学など
『アドラー心理学入門』H.オーグラー著、西川好夫訳、清水弘文堂、1977年、1600円
『クラスはよみがえる』野田俊作・萩昌子、創元社、1989年、1785円
『アドラー心理学 トーキングセミナー』野田俊作、アニマ2001、1989年、2200円
『続アドラー心理学 トーキングセミナー』野田俊作、アニマ2001、1991年、2100円
*『アドラー心理学の基礎』ドライカース著、宮野栄訳、一光社、1996年、1200円
『アドラー心理学入門』ロバート W. ランディン著、前田憲一訳、一光社、1998年、1500円
*『アドラー心理学入門』岸見一郎、KKベストセラーズ、ワニのNew新書、1999年、648円
『アドラーを読む』岸見一郎、アルテ、2006年、1890円
『アドラーの思い出』北米アドラー学会、柿内邦博・井原文子・野田俊作訳、創元社、2007年、2625円
『アドラーに学ぶ』岸見一郎、アルテ、2008年、1890円
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E.H.エリクソン 読書案内 [2008.10.3]
*印の本のいずれかを最初に読むことをお薦めします。
著書など
『洞察と責任』鑪幹八郎訳、誠信書房、1971年、2500円
『アイデンティティ――青年と危機』岩瀬庸理訳、金沢文庫、1973年、3000円
『自我同一性――アイデンティティとライフサイクル』小此木啓吾訳編、誠信書房、1973年、2500円
『エリクソンvsニュートン』近藤邦夫訳、みすず書房、1975年、1260円
*『幼児期と社会』1・2、仁科弥生訳、みすず書房、1977・1980年、2000円・1800円
『歴史の中のアイデンティティ――ジェファソンと現代』五十嵐武士訳、みすず書房、1979年、1400円
*『エリクソンは語る――アイデンティティの心理学』R.I.エヴァンス、岡堂哲雄・中園正身訳、新曜社、1981年、1700円
『玩具と理性』近藤邦夫訳、みすず書房、1981年、1500円
『ガンジーの真理』1・2、星野美賀子訳、みすず書房、1983年、各2884円
『ライフサイクル、その完結』村瀬孝雄・近藤邦夫訳、みすず書房、1989年、2400円
新装版『老年期』共著、朝長正徳・朝長梨枝子訳、みすず書房、1997年、2900円
(『老年期』共著、朝長正徳・朝長梨枝子訳、みすず書房、1990年、2900円)
『青年ルター』西平直訳、みすず書房、2002・2003年、2625・3150円
(『青年ルター』大沼隆訳、教文館、1974年、3500円)
伝記
『エリクソンの人生』上下、ローレンスJ.フリードマン、やまだようこ・西平直監訳、鈴木眞理子・三宅真季子訳、新曜社、2003年、4410・4715円
エリクソンの自我心理学など
「アイデンティティ特集」『現代のエスプリ』小此木啓吾編・解説、1974年、650円
『モラトリアム人間の時代』小此木啓吾、中公叢書、1978年、2300円
『エリク・H・エリクソンの研究』上下、ロバート・コールズ、鑪幹八郎監訳、ぺりかん社、1980年、各2884円
『アイデンティティ論を超えて』ポール・ローゼン、福島章・高原恵子・大沼隆博訳、誠信書房、1984年、2000円
『リッグスだより』鑪幹八郎、誠信書房、1986年、1500円
*『アイデンティティの心理学』鑪(たたら)幹八郎、講談社現代新書、1990年、640円
『エリクソンの人間学』西平直、東京大学出版会、1993年、5200円
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V.E.フランクル(1905〜1997) 第3回 [2005.6.21]
『<生きる意味>を求めて』 諸富祥彦監訳、上嶋洋一・松岡世利子訳 春秋社 1993年
「意味への叫び」「意味への意思」「生きる意味」「出会い(エンカウンター)論」「セックスの非人間化」「はかなさと、死すべき運命」などの9章からなる。
原書は、1978年に出版されている。1967年に出版された『心理療法と実存主義』(邦訳、高島博・長澤順治訳『現代人の病』丸善)、1948年の『無意識の神』(邦訳、佐野利勝・木村敏訳『識られざる神』みすず書房)の続編にあたる。
生きることの無意味さに絶望している人々を援助するためには、自分自身で意味を発見するようにすることが必要であるという。
そのためには、現実を変えていくために、「自分のなし得るものは何か」を見つけて、可能性にしか過ぎなかったことを、一つの揺るぎない現実に転換して、「過去の現実」に変えることで、救うことができるという。
これは、自分で自分自身を救う場合も同じであろう。構成もコンパクトで、読みやすい内容になっている。
『識られざる神』 佐野利勝・木村敏訳 みすず書房 1962年 (新装版、2002年)
「フランクル著作集7」として出版されている本書は、『無意識の神』(邦訳『識られざる神』)と『ロゴスと実存』の2冊の原書を1冊に収めたものである。
前者は、「実存分析の本質」「精神的無意識」「無意識の宗教性」「精神療法と宗教」などの7章からなる。
初めてフランクルを読む人には難しいかもしれないが、ユダヤ教・キリスト教に関心のある人だけではなく、仏教など他の宗教に関心ある人にも薦めたい本である。フランクルを真に理解するためには、欠かせない1冊である。
フランクル以外に、実存主義にもとずいた有名な精神医学者にビンスワンガーがいる。彼とフランクルとの大きな違いは、フランクルがユダヤ教の信仰をしていたことである。
フランクルが深層心理学的に、「無意識の神」を明らかにした意義は高く評価されてよい。
無宗教を自認して自然科学的に人間の心を読み解こうとしていたフロイトが、「精神分析」を提示したとき、欧米のキリスト教社会の伝統的な人々から、人間の価値をおとしめるものと激しく批判をされた。
還元主義としてフロイトを位置づけ批判をするフランクルの考え方は、欧米のキリスト教社会の伝統的な考え方を代表しているように思う。
しかし細山は、フロイトが「生物としての人間の心」を明らかにしたことは高く評価されて良いと思っている。人間の心は良いことと悪いことの両方を生じるのだから……。
「読書セラピー(読書療法)について」 [2005.5.25 6.16加筆]
フランクルは自らの体験をもとに、1975年11月にウィーンで開かれた国際ペンクラブの会合と、翌日のオーストリア・ブックフェアで、「読書による癒し」、つまり「読書療法」についての講演をしています。
フランクルの本は、自殺願望をもっている人、不治の病いで絶望におちいっている人、死を目前にしている人、心を病んでいる人、生きることに悩んでいる人だけではなく、あらゆる人々に「心と生命の使い方」を教えてくれて有益で、効果があると思われます。
[フランクル自身は、トルストイ『イワン・イリッチの死』岩波文庫、エリザベス・キュブラー=ロス『死--成長の最終段階』(『続・死ぬ瞬間』読売新聞社)を薦めています。『<生きる意味>を求めて』55頁、149〜151頁]
また、現在の日本で多くなっている、いじめにあったり、引きこもっている少年・青年、ニートの若者、失業や倒産をした人、中高年齢者などに限らず、あらゆる人々にもよい思います。
フランクルの本とは異なりますが、他の深層心理学者の本も、それぞれに意味と価値があり、読書療法として効果があると思います。
一般の人では思いつかない考え方や「心の世界」を教えてくれて、心を広げて楽にしてくれるからです。
今までの考え方や固定観念(ビリーフ)を修正して心の病を治す心理療法に、論理療法がありますが、読書療法は論理療法の一つになるのではと思います。
読書療法は、Bibliotherapy といわれ、欧米などでは特定の症例に対する心理療法として行なわれているようです。
日本では体系的な研究や実践が遅れているように思いますが、これは筆者(細山)が勉強不足だからでしょうか?
もし、ご存知の方や専門家の方がいましたら、お教えいただければ幸いです。
本ホームページでは、読書療法というと固くなるので、読書セラピーと呼ぶことにしました。
本ホームページは専門家向けのものではなく、今まで深層心理学書など一冊も読んだことなどないという人が、何か読んでみたいというときのきっかけ、ガイドになることを目指していますので…。
V.E.フランクル(1905〜1997) 第2回 [2005.6.6]
『それでも人生にイエスと言う』 山田邦夫・松田美佳訳 春秋社 1993年
ナチスの強制収容所から解放された翌年(1946年)に、ウィーンの市民大学で行なった3つの連続講演、「生きる意味と価値」「病いを超えて」「人生にイエスと言う」からなり、非常に読みやすい内容になっている。
苦難と死こそが人生を意味あるものにし、逃げられない事実にとる態度によって生きる意味を見い出すことができるという。
どんな人生にも意味があるというフランクルは、人生を否定的ではなく、大肯定してとらえていて、人間の心に安らぎを与えてくれる。
『宿命を超えて、自己を超えて』 山田邦夫・松田美佳訳 春秋社 1997年
講演やテレビのインタビューなどの「宿命を超えて」「人生観を語る」「生きる意味の心理学」「ロゴセラピーとはなにか」の4章からなる。
外界や心理的な状況がどんなに厳しくても、人間は自分を変えて、それに打ち克つ能力があるという。
つまり、どんな宿命も超えられるというフランクルの考え方は、読者に生きる勇気と力、知恵を与えてくれる。
なお、ロゴセラピーとは、フランクルが1926年から使い始めた言葉で、ロゴス(無意識にある精神性、意味)を意識させることによって、人間の自由と責任(実存)を呼び起こすことで、人格的態度の転換をうながし、人生を意味のあるものにしようとするのである。
また、実存分析とは1933年から使い始めた用語で、一見 無意味と思われる苦悩・状況に意味を見い出し、真の人間的業績に変える可能性を見い出そうとするものである。
V.E.フランクル(1905〜1997) 第1回 [2005.5.25]
『夜と霧』 (原題は、『ある心理学者の強制収容所体験』)
霜山徳爾訳、1961年、池田香代子訳、2002年 みすず書房
フランクルが強制収容所から解放された1945年に、2、3週間の口述筆記をして、まとめた本である。世界的な大ベストセラーになり、ロングセラーになっている。 アメリカ図書館協議会によれば、歴史上もっとも多く読まれた10冊の本の1冊であるという。
「生き地獄」を生き抜いたフランクルの体験と心の持ち方などを書いた本書は、自殺願望者や生きることに絶望した人、死を目前にした人などにも感動を与えて、多くの悩む人々を救っている。
日本の自殺者は1998(平成10)年から毎年、3万人を超えている。最近は、中高年者だけではなく、30歳代の人も多くなっているという。自殺願望を持っている人々に、ぜひ読んでほしい本である。
本書に限らず、フランクルの本は、あらゆる人々に「生命と心の使い方」を教えてくれる。
『死と愛』(原題は、『医師による魂の癒し』) 霜山徳爾訳 みすず書房 1961年
フランクルはアウシュビッツ強制収容所に入れられたとき原稿を没収された。しかし、収容所で手に入れた紙切れにメモを取り続けて、解放後『夜と霧』の前に出版したのが、本書である。
生命、死、苦悩、労働、愛の意味をあきらかにしている。
人間の生命は独自性と一回性であるがゆえに唯一の価値があり、死は生命の全体性を完成させる意味があるという。
また、愛は他者の身体的・心理的・精神的全体性の独自性と一回性を体験することで、共感性を高め、すべての価値に目を開かせて、死よりも強いという。
フランクルは自分の心理学を、ロゴセラピー、実存分析と呼び、フロイトの精神分析やアドラーの個人心理学との違いを明らかにしている。
フランクルはフロイトを高く評価しながらも、フロイトとアドラーを限定的にとらえて批判をする。しかし、その批判を鵜呑みにするのは避けたほうがよい。それぞれに意味と価値があるからである。
それは今後、本ホームページを読んでいただければ、自然にご理解をいただけると思う。
『フランクル回想録』 山田邦夫訳 春秋社 1998年
フランクルの90歳の誕生日(1995年3月26日)を記念して刊行された本で、彼の生涯におけるエピソードが入っている。フロイトやアドラーとの出会いや、フランクルのロゴセラピー、実存分析の成り立ちと全体像がわかり、読みやすい内容になっている。
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